「ここが…ファウンス?」

僕は目の前に広がる光景に目を疑った。
いや、確かにガイドブックの通り広大な自然をたたえる大地だが…
あちらこちらの木々が枯れ、荒れている。

「何か…あったのかな?」

コリンクが聞く。確かに、何かあったと考えるのが妥当だ。

「あ、あそこに小屋がある!!あそこで聞けば何か分かるかも。」

「…なあ、セレビィ?ヒカルはどうしてあんなに他人の事に熱心なのだ?
極端な事を言えば我々には関係ないではないか。」
「単なるお節介なのか…優しいのかどっちかは知らないけど、まあ、
ヒカルはそういう性分なんじゃない?」

二人とも、聞こえてるよ。
誰がお節介だって?ま、いっか。

「ごめんくださーい。」

…………
誰からも反応が無い。

「留守なのかな?」
「そう考えるのが妥当だろうな。」
「ファウンスの中にいるんじゃない?探してみようよ。」

というわけで、小屋に住んでいる人を捜索開始。

「あ!!あれはフライゴン!!」

図鑑を開き、フライゴンに向ける。

『フライゴン、精霊ポケモン。強烈なハネの羽ばたきで砂嵐を起こす。
砂漠の精霊と呼ばれる。』
「ねえ、君!!ここの森、何かあったみたいだけど、どうしたの?」

ポッチャマが聞いた。
確かに、そこに住んでいるポケモンに聞く方が手っ取り早い。

「ん?見かけない顔だな。」
「あ、僕はヒカル。こっちは、パートナーのコリンクとポッチャマとエルレイド。それと…」

辺りを見回して人がいないのを確認して、セレビィのモンスターボールを投げる。

「セレビィ。実は僕ら、旅の途中でこのファウンスに立ち寄ったんだけど、
森の様子がおかしかったから、気になって…」
「うん。実は4日程前…」

フライゴンの話はこうだ。
元マグマ団の研究員だったバトラーという人は、願い事ポケモンジラーチの力を利用して、
陸を広げる力を持つ大陸ポケモン、グラードンを復活しようとした。 
しかし、その試みは失敗、代わりに大地の力を吸い取るメタ・グラードンを呼び起こしてしまったと言う。
メタ・グラードンはバトラーとその愛人ダイアン、そしてジラーチが目覚めのために選んだ少年と
その仲間達によって倒されたと言う…
そして、バトラーとダイアンはメタ・グラードンに破壊された自然を元に戻す研究をするため、
ファウンスに残るしたらしい。

「なるほどね。だから森の様子がおかしかったんだ…で、そのバトラーさんとダイアンさんが
あの小屋に住んでいる訳か。」
「ねえ、ヒカル。そのバトラーさんて人とダイアンさんて人に会ってみない?」

コリンクが提案する。

「そうだね。ねぇ、フライゴン2人はどこにいるかしらない?」
「この奥の洞窟に行ったはず…よし、案内しよう。」
「いいの?ありがとう!!」
「よし、俺の背中に乗ってくれ。」
「はーい。」

コリンク以外をモンスターボールに戻し、コリンクを抱き抱えて、フライゴンに跨がる。

「じゃ、しっかりつかまりな。落ちないようにな。」

そう言って、フライゴンはゆっくりと飛び去る。
少し飛ぶと、下に大穴が開いており、そこに2人の人影が見える。

「あの二人がバトラーとダイアンだ。」

僕はフライゴンから降りて、二人に声をかける。

「こんにちは〜!!」
「やあ…君は?」

男の人だから…バトラーさんか。
僕は今までの経緯を話す。もちろん、セレビィの事は話さずに、
ポケモンと会話出来る力を持っているということにしたけど。

「何かお手伝い出来ることありませんか?」
「ああ、あることはあるんだが…」

バトラーさんはダイアンさんと顔を見合わせる。

「君なら信頼出来そうだ。ここじゃあ何だから、小屋の方で話そう。」

というわけで、お二人の車で小屋へ。
小屋ではダイアンさんが紅茶を用意してくれた。

「君は、ポケモントレーナーだよね?」
「あ、はい、まあ。」
「協力してほしいことがあるんだ。実は、今朝電話があって、
マグマ団がジラーチの眠り繭を渡せと言ってきているんだ。
さもなければ、ファウンスに来て、無理矢理強奪すると奴らは言っている。
奴らは恐らくジラーチが千年彗星から集めたエネルギーを欲しがっているんだ。
無茶なことだとはわかっているけど、マグマ団撃退に力を貸してほしい…」
「…分かりました!!僕でいいなら喜んで!!」

と、いうわけで、僕はバトラーさんとダイアンさんの協力をすることに。
バトラーさんは眠り繭が存在する空間にバリアを貼る装置のセッティング。
ダイアンさんは、ファウンスに住む野生のポケモン達を一カ所に集める。
僕の仕事はポケモン達の保護。
僕はセレビィ以外の手持ちのポケモン達をモンスターボールから出す。

「みんな、協力してくれ!!」
「「「勿論!!(無論だ。)」」」

その時、上空に飛行機が現れ、ゆっくりと降りてくる。

「来たね…」

着陸した飛行機から、数人の人が降りて来た。
あ、この人達、カナズミにいたときにテレビで見た怪しいビジュアルの人達だ。
この人達がマグマ団か…よし、こういう人たちには容赦無用!!

「やい、小僧そこをど…」
「拒否〜!!ポッチャマはバブル光線、コリンクは10万ボルト!!」

「…グラエナ、破壊光線で相殺。」

あ、呆れられた。流石に子供っぽいかな?

「ていうかさ、なんで野生のポケモンゲットするのに僕がいちゃまずいわけ?
別に悪いことしてるつもりないんだったら、堂々とゲットすりゃあいいじゃん?
悪いことしてて、堂々とゲット出来ない人に他人に命令する権利はないと思うけど?」

怪しいビジュアルのマグマ団の人達がずっこける。

ある意味正論だけど何か違うような…これがお坊ちゃま育ちってやつかな…?(byコリンク)

「…調子が狂うんだよ!!この餓鬼!!グラエナ、突進!!」

グラエナが3匹、僕たちに襲い掛かる。

「エルレイドはつじぎり、ポッチャマはつつく、コリンクはスパークで迎え撃って!!」

グラエナとヒカルのポケモン達の技が衝突する。

その時、相手側のポケナビの着メロがなる。

「眠り繭の回収作戦は終わった。作戦の途中であっても直ちに帰還するように。」
「了解。」

回収作戦が完了した…?
ということは…!!



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