「また逃げられたぁ〜!!」 洞窟の中に僕の声が反響する。 カナズミジムで敗北を喫した僕は、ポケモン達と修業すべく、流星の滝に篭っていた。 そして、トウカの森のリベンジを果たそうと、こうして捕獲にチャレンジしているのだけど… スバットには逃げられ、タツベイには頭突きでモンスターボールを破壊され、 ルナトーンにはサイコキネシスでモンスターボールを弾かれ…もう散々。 「やっぱり僕は捕獲と相性が悪いのかなぁ…」 「そうも言ってられないでしょ?これから3匹以上ポケモンが必要になる場合もあるだろうし…」 「そうだね…」 と、そんな会話をしていた時だった。 「フーディン、サイコキネシス!!」 フーディンのサイコキネシスが近くにいた野生のズバットを攻撃する。 「いまじゃ、行け、モンスターボール!!」 ズバットはおとなしくボールに収まる。 「凄い…鮮やか…」 「しかもあのサイコキネシス、威力が半端じゃなかったよね…。」 「あれ?あの人どこかで見たような……えっーと、そうだ、ラム博士だ!!」 「ん?わしの事を知っているのか?」 「はい。『新ポケモン育成方法論』の人ですよね?」 「いかにも。君のような少年もわしの論文を読んでくれているのか。嬉しいのぉ。」 「「「「新ポケモン育成論?」」」」 「ポケモンは、同じように育てた同種のポケモンでも、 倒したポケモンによって能力が違って来るってことを発見した博士なんだ。 具体的な事はあまり分かってないらしいんだけど。」 「いかにも。さて、君は旅のトレーナーじゃろう?流星の滝の近くにわしの小屋がある。 そこで少し休んでいかんか?」 あ、それはいいかも。 そろそろ流星の滝を出ようと思ってたし。 「じゃあ、お言葉に甘えて…」 ラム博士の小屋のリビングで僕はお茶をご馳走になっていた。 「博士は今なんの研究をしていらっしゃるんですか?」 「ポケモンの性格傾向から見た固体能力の違いじゃ。ポケモンの性格傾向を分類すると、 その種類ごとに特に優秀な能力が現れるのじゃ。」 「へぇ〜」 コンコン。玄関がノックされる。 「どなたかな?」 「シンオウ地方ポケモントレーナー協会です。お聞きしたいことがあって参りました。」 「ラム博士!!僕の事聞かれても何も答えないで下さいっ!!訳は後で説明しますから!! お願いしますっ!!」 「あ、ああ…わかった。」 2、3会話を済ませると、トレーナー協会の奴らは去って行った。危ない危ない。 もう追い付かれてるのか…少し旅のペースを早めた方がいいかなぁ? 「で、君。訳とはなんなんじゃ?それと名前も聞いていなかったな。教えてくれんか?」 「えっと、僕はヒカルと言います。」 僕は今までの経緯を説明した。 「ふむ…なるほど。それは大変じゃな。そうじゃ、君はポケナビを持っているかな?」 ポケナビ。確かホウエン地方のトレーナーツールだったはず。 「いえ、持ってませんが。」 「なら調度良い。学会にデボンコーポレーションの研究員がいて、一つくれたのじゃが、 わしはすでに持っているから、君にあげよう。」 「え?いいんですか?」 「うむ。是非もらってくれ。わしの番号を登録しておくから、何かあったら連絡をくれ。 それと、これはわしから君へのプレゼントじゃ。目覚め石とタウリンじゃ。 目覚め石は特定のポケモンを進化させる進化の石の一つ。 ラルトスがキルリアになったときに使うとよい。 タウリンはポケモンの物理攻撃能力を引き上げるアイテムじゃ。」 「ありがとうございます!!」 本当に何から何まで…至れり尽くせりだ。感謝しても感謝しきれない。 「さて…まだ奴らがいるかもしれんから、わしのピジョットで近くの町まで送っていこう。」 そう言って、2人で家を出た時… 「ヒカルくん、やっぱりこの家に隠れてましたね?張り込んでいた甲斐がありましたよ。」 一人はトウカで出会ったあの人。わざわざ仲間も一人いる。 「言ったでしょう?僕は島に戻るつもりはないって。」 「ま、そっちがその気なら。」 お仲間さんはガブリアスを出す。トウカの方はライチュウ。 「タッグバトルか。わしがヒカル君とタッグを組もう。」 ラム博士はフーディンを出す。 …この状況は…やるっきゃない。 「準備はいい?ラルトス!!」 ラルトスがモンスターボールから出てくる。 「相手はガブリアスとライチュウだ。スピードには気をつけて!!」 「ああ。分かった。」 「ガブリアス、ラルトスにドラゴンダイブ!!」 ドラゴンダイブは確か絶対交わせない技。なら… 「ラルトス、かげぶんしん!!」 影分身にドラゴンダイブが当たり、ラルトス自身は無傷。 「ライチュウ、でんこうせっか!!」 「フーディン、サイコキネシス!!」 フーディンのサイコキネシスでライチュウは弾かれる。 「ラルトス、ライチュウにマジカルリーフ!!」 マジカルリーフがライチュウにヒットし、ライチュウがぐるぐる目を回す。 「やったね!!ラルトス!!あれ…?」 ラルトスの体が白く光始めた。 「これは…?」 「進化が始まったんじゃ。」 白い光が穏やかにひいて、中からキルリアが現れる。 「ラルトスがキルリアに進化した!!」 「それがどうしたぁ!!ガブリアス、ギガインパクト!!」 「キルリア、交わしてさいみんじゅつ!!」 ガブリアスのギガインパクトを交わして、催眠術をガブリアスに当て、ガブリアスを眠らせる。 「今だ!!キルリアー!!」 僕はキルリアに向かって目覚め石を投げる。 キルリアはそれをキャッチして、またも体が白く光だす。 「行くよ、エルレイド、サイコカッター!!」 白い光の中から現れたエルレイドがサイコカッターの体制に入る。 「フーディン、気合い玉じゃ!!」 サイコカッターと気合い玉がガブリアスにヒット、ガブリアスは戦闘不能。 「…くっ!!ここは一旦退却だ!!」 奴らは一目散に逃げて行く。 「フーディン、戻ってくれ。なかなかのコンビネーションじゃったぞ。君とエルレイド。」 「え、いや、エルレイドのおかげですよ。ありがとうな。」 僕はそう言ってエルレイドをモンスターボールに戻す。 「さて、じゃあ近くの町まで行くとしようかのぉ。」 僕はラム博士に流星の滝の麓町に送って貰った。 …きっとあの人たち、シンオウトレーナー協会の人達はこれからも僕の前に立ちはだかるだろうけど、 ポケモン達となら大丈夫だと思う。僕はそんなことを思っていた。 次へ 戻る