改めて自己紹介。僕はヒカル。シンオウ地方のある島(名前は知らない)の出身の訳あり新人トレーナーなんだ。
僕は今、カナズミのポケモンセンターで「ポケモントレーナーのホウエン巡り」という本を読んでいる。
(勿論、どこで買ったのか、とコリンク達に突っ込まれたけど)

「カナズミジムのジムリーダーのツツジさんは岩タイプの使い手か。
まあ、ポッチャマは確定として…」
「ま、初めてのジム戦だし、相手が岩タイプだから当然だね♪」

ポッチャマが嬉しそうに言う。

「ヒカル〜僕は〜?」

セレビィが聞いた。

「出せるなら出したいけどさ、僕がセレビィ持ってるなんて噂が広まったら、怪しい人たちに追われるかもしれないしさ。
ただでさえ追われる立場なのに、これ以上悩みを増やしたくないから…ごめん。」
「ま…しようがないか。」

そういえば、さっきニュースでマグマ団とかいう怪しいビジュアルの人達の特集やってたっけ…
やっぱりセレビィを公衆の面前に出すのは危いよな…

「えっと…後は2VS2だったらマジカルリーフが使えるから、ラルトスにお願いしていいかな?」
「問題ないが。」
「3VS3だったらコリンクもお願いね。」
「オッケー♪」

ご覧の通り、僕とポケモン達はポケモンセンターでジム戦に向けて準備していた。
カナズミシティに着いたのが夕方だったので、ジム戦の受け付け時間は過ぎていたから。

「じゃあ、明日に備えて今日は早く寝よっか?」
「そうだね。」
「ゆっくり休むことも大切だからな。」
「うん。じゃあ、みんなおやすみ〜」

ポケモン達をモンスターボールに戻し、ベットに横たわりじっと天井を見つめる。

「あの島じゃ…こんなこと有り得なかったよな…」

祖父の代から受け継がれてきた、野生のポケモン嫌いと、トレーナーが危険な仕事だという先入観。
そんな環境にずっと身を置いていた。
それだけにポケモントレーナーになった今、この瞬間の嬉しさは人一倍。…だと思うよ。

「ボクも…寝るかな…」

僕はそう言って、目を閉じた。

翌日。
僕はジムの受け付けを済ませ、準備をしているジムリーダーをバトルフィールドで待っていた。

「お待たせしました。わたくしがカナズミジムジムリーダーのツツジですわ。
ヒカルさん…でしたね。お互い最善を尽くしましょう。」
「よろしくお願いします!!」
「それではチャレンジャーヒカルとジムリーダーツツジによるポケモンリーグ公式バッチをかけたバトルを始めます。
試合形式は2対2のシングルバトル。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった時点で試合終了とします。
なお、ポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められます。それでは、試合開始!!」
「イシツブテ!!」
「用意はいい?ラルトス!!」

僕のポケモンはラルトス。ツツジさんのポケモンはイシツブテだ。
ラルトスのマジカルリーフの効果は抜群。一気に決める!!

「ラルトス、マジカルリーフ!!」

マジカルリーフがイシツブテに迫る。

「岩の陰に入ってまるくなるでしのいでください。」

イシツブテは岩の陰に隠れて、マジカルリーフをやり過ごす。

「イシツブテ、ころがる攻撃。」

イシツブテはラルトスの方に転がってくる。

「ラルトス、マジカルリーフで迎え撃って!!」

ラルトスはマジカルリーフを放つ。…が!!

「弾かれた!?」

マジカルリーフは転がっているイシツブテにことごとく弾かれていく。
イシツブテはどんどんラルトスに近付く。

「か、交わして!!」

しかし、交わしきれずにラルトスにヒットする。

「イシツブテ、メガトンパンチ!!」

・・・・・・・・・・・・


「ラルトス戦闘不能!!イシツブテの勝ち!!」

そっか、まるくなるの後の転がるって威力が上がってるんだっけ…完全に忘れてた。
僕はラルトスにお礼を言うと、モンスターボールに戻した。

「じゃあ、二番手は…準備はいい?ポッチャマ!!」






…あまりにも悲惨な結果だったので、省略するよ。
結論から言うと、結局イシツブテにまともなダメージも与えられず「メガトンパンチ」や「転がる」で
ストレート負け。
ポッチャマに謝って、モンスターボールに戻す。

「ヒカルさん。」
「は、はい?」

いきなり声をかけられて、びくっとする。

「貴方はポケモンに関する知識をかなり多く持っているように思いますが、
ポケモンの知識は何のためにあるか分かっていますか?」
「…ポケモンの知識が何のためにあるか…?」
「トレーナーはポケモンと共に戦い、成長する。
そのために必要なのがポケモンに関する知識、つまりポケモンを理解することですわ。
トレーナーはまず第一にポケモン達を理解し、ポケモン達と助け合うことが大切だとわたくしは思いますわ。」

…ポケモンのため
そうだよな…僕はタイプ相性なんかの知識はあったけど、肝心な事を知らなかったんだ。
それは、ポケモン達を理解しようとする心が大切だとううこと。
ポケモンの事を考えていなかったから、転がるにたいして交わせという指示が出せなかった。

「ツツジさん。僕、トレーナーとしてまだまだ未熟ですが、
ポケモン達の事を本当の意味で分かるように頑張ります!!ポケモン達の事を分かるようになったら…
またバトルしてください!!」
「ええ。勿論ですわ。楽しみにしてますわ。」

僕はツツジさんに一礼して、ポケモンセンターに戻った。

ジョーイさんにポケモン達の手当をしてもらうと、ポケモンセンターの個室に戻って、みんなを出した。

「みんな…僕、トレーナーとしてまだまだ未熟だけど、これから皆と一緒に頑張るから…
それでいいよね?」
「…何?ヒカル改まっちゃって?」
「まあ、今日のジム戦は残念だったけど、次頑張ればいいでしょ?」
「うむ。失敗は成功の母と言うしな。」
「ま、ヒカルはヒカルのペースでいいんじゃない?」
「みんな…」

結局その日はポケモンセンターに泊まり、次の日出発することにしたんだ。
さあ、最高のポケモントレーナー目指して頑張るぞ!!



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