ジョウト地方の中でも人気の高い場所、グリーンフィールド。確かに綺麗なところだよな… 「うん!!空気が美味しいですね!!」 イーブイが言う。 因みに、今はセレビィ以外の手持ちポケモンを全てモンスターボールの外に出している。 空気は美味しいし、綺麗だし、こんな良い場所を僕とコリンクだけで見て回るってのは…ねぇ。 その時、後ろから背中をぽんぽんと叩かれ、振り返ると8歳ぐらいの女の子が。 「ねえ?お兄ちゃんポケモントレーナー?」 「え?うん、そうだけど…」 「珍しいね、グリーンフィールドにポケモントレーナーが来るなんて。大体はポケモンコーディネーターの人達だよ。」 「「「「ぽけもんこーでぃねーたー?」」」」 コリンク達がはてな、と首を傾げる。 ただ一匹、首を傾げなかったエルレイドが口を開いた。 「ポケモンコーディネーターと言うのはポケモンコンテストに参加することを主としたトレーナーのことだ。 ポケモンコンテストはポケモンバトルと違って、ポケモンの魅力を魅せることを主体にしてるのだ。」 エルレイドさん、わかりやすい説明、ありがとうございました。 けど、なんでそんなこと知ってるの? 「まあ、実際に見てみた方が早いと思うよ。明後日に実際にポケモンコンテストがあるらしいから、見てみよっか?」 僕はポケモンイベントガイドブックジョウト地方版を見ながら言う。 「賛成だけど…そんな本、いつのまに買ったの?」 まあ、そこは突っ込まないでくださいよ。 僕だけの秘密ということで。 「でも、よく僕がコーディネーターじゃなくてトレーナーだってこと分かったね。」 「なんとなくオーラで分かるの。ねえ、お兄ちゃん、あたしとポケモンバトルしてくれない?」 ポ、ポケモンバトル? 明らかにこの子、10才に達してないから、バトルすることは愚か、自分のポケモンすら持てないはずだけど… 「ねえ、バトルして?」 「あのさ、知ってると思うけど、10歳未満の人がポケモンバトルするのは違法なんだよ?」 (家出少年が言える言葉じゃないんじゃない?) モンスターボールの中にいるセレビィが話しかけてくる。 「失礼な!!家出少年なんかじゃないよ、僕は!!ただ、10才になれば普通にみんながやってることをやってるだけですー!!」 「え?」 「あ、いや、ごめん、こっちの話。」 「ねえ、一回だけならいいでしょ?」 うーん、そんなこと言われてもなぁ… まさか犯罪の手助けをするわけにはいかないしさ。 「まあ、いつか君がポケモントレーナーになったら…」 「…じゃあ、いいもん。ヒメグマ、秘密の力!!」 …な? 秘密の力が危うくイーブイにヒットすそうになったが、ぎりぎりの所で交わした。 「危ないな!!何すんだよ!!」 「バトルしてくれないなら、無理矢理バトルするだけだもん。ヒメグマ、だましうち!!」 「ヒメ!!」 「こうなりゃ、やるしか無いみたいだな!!イーブイ、シャドーボールでだましうちを相殺するんだ!!」 「ブーイ!!」 だましうちはシャドーボールにヒットし、イーブイへの直接ダメージは回避される。 「電光石火!!」 「ブイッ!!」 電光石火がヒメグマにクリーンヒットする。 この電光石火は、嘘泣きを忘れさせて、新しく覚えさせた技。 結構、使いがってがいいんだよね♪ 「分かった?まだ10才になってないのに無茶なこと…」 「ヒメグマ、カウンター!!」 ちょっと!! カウンターがイーブイにヒットし、イーブイは大きく吹っ飛ばされる。 カウンターは相手の物理技を倍返しにする技。それを喰らったら… …!! (ポケモントレーナーの1番大切な仕事って、ポケモンを育てることでも、ポケモンに技なんかを指示することでもないと思うんだ。 ポケモントレーナーがまずやるべきこと、それはポケモンを信頼することじゃないか? 君はきっと、心のどこかで自分のポケモンより自分の知識の方が信頼できると思ってるんじゃないのかい?) そうだ、また、僕は…… 知識ばっかり信用して… …………………………… 「…イーブイ!!頑張れぇぇ!!」 「…ブイッ!!」 イーブイは何とか持ちこたえ、体制を立て直すと、体が眩しい光を放って光り出す。 「この光は…進化が始まったんだ!!」 光がおさまると、そこには紫色の美しいボディのエーフィがいた。 「まだだよ!!ヒメグマ、騙し討ち!!」 うーん…さっきのカウンターといい、今の冷静な判断といい、相当強いな、この子… って、関心してる場合じゃなくて。 「エーフィ、サイコキネシス!!」 「フィ!!」 エーフィのサイコキネシスがヒメグマを捕らえ、そのまま投げ飛ばす。 ヒメグマはぐるぐると目を回して倒れ込む。これで戦闘不能かな。 「分かった?ポケモンバトルをやりたいのは分かるけど、やっぱり、それはちゃんと自分のポケモンを持ってからにしないと。ね?」 「……うん。」 「君がポケモントレーナーになったら、真っ先にバトルしよう。ね?」 「…うん!!そういえば、お兄ちゃん、名前何て言うの?」 「僕?ヒカルっていうんだ。君は?」 「あたしはミー。よろしくね!!」 次へ 戻る