ポケモンリーグの聖火が聖火台へと運ばれる。
何だか、聖火が盗まれたとか盗まれないとかいうごたごたがあったみたいだけど…大丈夫みたいだね。
ポケモンリーグの聖火は伝説のポケモン、ファイヤーの炎だから、盗まれたら手に入れることは難しい。
盗まれた時に都合よく、ファイヤーがいるわけないしさ。

開会式も終わり、予備戦の対戦カードも発表され、午後から試合である。
その中でも、僕は遅い部類に入る試合。

「えーっと…僕の対戦相手はっと…」

開会式が終わると、僕は選手宿舎の個室に備え付けのパソコンのキーボードを叩いていた。

「…インターネットで対戦相手の情報が分かるの?」

肩に乗っているコリンクが聞く。

「うん基本的な情報…手持ちとか出身地とかは運営側が公開するし、
ある程度個人運営のトレーナーファンサイトに以前のリーグでのバトルの様子とか掲載されてるしね。
…で、僕の対戦相手は…っ!!」


…ここまでやるかなぁ。
正直、うんざりして呆れるよ。
予備戦の対戦相手は…流星の滝で対戦したガブリアス使いのトレーナー協会のトレーナー。

「ん?どうかしたの?」
「対戦相手がさ、僕を追っかけ回しているトレーナー協会の奴なんだよ。」
「ハハハ……。」

コウキも僕も苦笑いしている。

「まあ、いろいろと嘆いててもしかたないから…えっと、恐らくガブリアスで来るよな。
流星の滝でガブリアスを負かしたから、意地でもガブリアスで来ると思うんだ。」

ガブリアスのタイプはドラゴン・地面タイプ。生憎氷タイプの技をもったポケモンはいない。
となれば、タイプ的なリスク覚悟でフライゴンか、あるいはポッチャマか…

「よし、決めた!!」

予備戦、サトシやユキは難無く突破。
特にサトシはリーグ3回目とだから、慣れてるよな…

そして、僕の出番。
控室でメガネを外し、上着を脱いで、帽子をかぶって、いつものスタイルにチェンジ。

「さ、準備完了♪」
「おーい、ヒカル!!」

控室に入って来たのはサトシ達。

「あ、サトシ。予備戦突破おめでとう。」
「ああ、ヒカルも頑張れよ!!」
「うん。…でもやっぱりちょっと緊張するなぁ…」
「仕方ないさ。少しずつ大会に慣れていけば良いよ。」
「うん、あたしも最初のコンテストは凄く緊張したかも〜」
「え?そう?僕にはそうは見えなかったけど…」
「マサトは黙ってなさい!!」

えーっと…やっぱり良いよな、兄弟は…この場合は姉弟だけどさ。

「ヒカルさん、スタンバイお願いします。」
「はーい。じゃ、みんな、また後で。」

僕はそう言って、バトルフィールドに向かった。

「さあ、続いての予備戦はマサゴタウンのヒカルVSミオシティのマークだ!!」

「…しかし、貴方達も本当にやることが変だし、しつこいよね。島には帰らないって、何度も言ってるでしょ?」
「とりあえず、両親と話す為に一回戻ったらどうだ?
…この試合、俺が勝ったら、とりあえず話し合いをしに島に戻れ!!いいな?」
「はいはい。勝てるものならね!!」

トレーナー教会の人達には絶対負けない!!負けられない!!
大事な初めてのポケモンリーグをこんなことで潰されちゃ、たまらないよ!!

「それでは、試合開始!!」
「準備は良い?フライゴン!!」
「行け!!ケンタロス!!」

ケンタロス?ガブリアスじゃないの?

「ケンタロス、影分身!!」
「フライゴン、影を全部火炎放射で撃つんだ!!」
「しっぺ返し!!」

え!?…しっぺ返しは攻撃を受けた後に使うと、2倍のダメージを与える技。
影分身は攻撃を誘うための罠だった?

「フラーッ!!」

フライゴンはしっぺ返しを喰らい、壁にたたき付けられる。

「思念の頭突き!!」

そこへさらに思念の頭突きで追い撃ちをかける。

「フ、フライゴン!!大丈…」
「そう聞きたいのはこっちの方だぜ…」

フライゴンはふらふらしながらも立ち上がる。

「相手がトレーナー協会だからなんだ?俺達は俺達のバトルをするだけだろ?
普段のお前なら『しっぺ返し』ぐらい警戒するはずだぜ!!」
「…そーだね。」
(ま、ヒカルの場合はマイペースだから、少しぐらいは他人に振り回された方がいいんじゃない?)

モンスターボールの中からテレパシーでセレビィが話しかけてくる。

「うん、分かった。」
「ちがーう!!そこは突っ込むところだろーが!!」

フライゴンは大声で叫ぶ。

「ケンタロス、思念の頭突き!!」
「おっと、バトルの方を忘れてた!!フライゴン、上空に飛んで交わして。」
「いや、忘れるなよ…」

フライゴンはそう言いながら、上空に飛んで思念の頭突きを交わす。

「フライゴン、火炎放射!!」

火炎放射がケンタロスの横っ腹にヒット。

「くっ!!怯むな!!ギガインパクト!!」
「破壊光線で迎え撃って!!」
「モーッ!!」
「フラーッ!!」

ギガインパクトと破壊光線が正面衝突し、大爆発が起きる。


……そして、ケンタロスはフィールドに倒れ込んだ。

「ケンタロス、戦闘不能!!フライゴンの勝ち!!よって勝者ヒカル!!」




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