「さあ着いた!!ここがサイユウシティだ!!」

僕は船から降りて、思いっきり伸びをすると、いきなり背後からぽん、と叩かれる。

「ヤッホー、ヒカル!!」
「やあ、ユキ。なんだ、同じ船に乗ってたか。」
「違うよ。あたしは一つ前の船で来て、今選手登録を終えたところだよ。」

あ、そうだ。着いたらまず選手登録しなくちゃいけないんだよな。危うく忘れる所だった…

「そうだ!!ねえ、ヒカル、この辺りに『サイユウ軒』っていうラーメンのお店があるんだけど、行ってみない?」
「えーっと…、選手登録終わってからでいいよね?」
「勿論!!」

リーグ会場で選手登録を済ますと、僕たちは『サイユウ軒』へと向かった。
どうやらポケモンリーグ公認のサイユウ大会のガイドブックにも載っている店らしいね…。
…店に入ると、見覚えのある後ろ姿の人がラーメンを食べていた。

「コウキ!!」
「お、ヒカルじゃないか。」

こっちはかなり驚いたのに、コウキは割と平然としてる。

「ラム博士(『流星の滝のポケモン博士』の話を参照)からヒカルがホウエンリーグに挑戦してるって、聞いてね。」

あ、そうか。ナナカマド博士の助手だし、ラム博士と親しくてもおかしくないよな。

「…誰?この人?知り合い?」
「うん。」
「初めまして。僕はコウキ。彼の友達で、ナナカマド博士の助手をしてるんだ。」
「初めまして。あたしはユキ。」
「彼女、トクサネシティで知り合ったんだ。」

そんなこんなで、ラーメンを平らげ、僕とコウキは選手用のホテルへ。
勿論、ユキは別室だから、途中で別れたけどね。

「さてと。開会式は明後日だから、早いとこポケモン達の体調チェックとか、仕上げとかしなくちゃ。」
「じゃあさ、僕とポケモンバトルしない?」
「え?」
「僕も久々にバトルしたいしさ。」

うん、実戦でポケモン達の調子を見れるなら、これ以上いいことはない。

「じゃあ、お願い!!…えーっと、ちょっと待ってて。」

度が入っていない眼鏡をかけて、上着を羽織り、キャップを脱いでポケットに仕舞った。
知的そうなトレーナーに変身♪

「これで一目見ただけじゃ、僕って分からなくなったでしょ?」
「…?」
「いや、実はさあ…」

僕はコウキにトレーナー協会の奴らの話をした。
イメチェンしたのは、奴らに見つからないようにするため。勿論試合中にはいつものスタイルに戻る。
あの馬鹿親達やトレーナー協会に見つかるからって試合中もイメチェンするぐらいなら、出場しない方がまし。

「…へえ。確かにトレーナー協会って、悪い噂はちらほら耳にするんだけど、民
間団体だから、追及しにくいんだよね…さ、行こうか。」

サイユウリーグにはちゃんとトレーニングやポケモンバトルが出来るスペースが設けられていて、その区間外では危険なのでポケモンバトルは禁止。

「ピカチュウ、10万ボルト!!」

バトルが出来るスペースに入ると、サトシとピカチュウが既にトレーニングをしていた。
確か、トクサネを出た時点でバッチ7個って言っていたから、この大会に出ていても、なんら不思議はないよな。

「おーい、サトシー!!」
「…?」

サトシは「誰?」って顔をしてる。
あ、そっか。今の格好じゃ分からないよな。

「僕だよ、ヒカルだよ。」

眼鏡を外しながら言う。

「あ、ヒカルか!!全然気付かなかったぜ。」
「うん。トレーナー協会の奴らが見てるかも知れないでしょ?
だから出歩く時ぐらいは一目見ただけじゃ分からないようにしたほうが良いかな…っと思って。」
「全然気付かなかったかも〜」
「なあヒカル、そっちの人は?」
「ああ、僕がトレーナーとして旅立つ手伝いをしてくれたコウキっていうんだ。
…で、こっちはサトシとハルカちゃんとマサト君とタケシさん。旅の途中で知り合ったんだ。」
「よろしく!!…で、ヒカル、バトルしよっか?」
「バトル?」

サトシが興味ありげに聞いてくる。

「うん。バトルの練習に付き合って貰おうと思ってさ。」
「よし、そういうことなら、俺が審判をやろう。」
「本当?お願いします〜!!」

いや〜タケシさんてホントに頼りになるよな…
この前ご馳走になった料理も美味しかったし…

「えーっと、じゃあ、2対2のダブルバトルでお願い出来る?」
「オッケー!!」

コウキは腰からモンスターボールを取り出す。

「それでは、ヒカル対コウキによる2対2のダブルバトルを始めます。バトル開始!!」
「行け!!ドダイトス、ムクホーク!!」
「準備は良い?コリンク、エルレイド!!」

コウキはドダイトスとムクホーク。僕はコリンクとエルレイド。

「行くよ!!ドダイトス、コリンクにタネマシンガン!!」
「ドダーッ!!」
「交わして恩返し!!」
「リン!!」

カイナシティに来ていたポケモン大好きクラブの会長の弟さんから貰った技マシン、恩返し。
ポケモンとトレーナーの絆が強ければ強い程強力になる技。

「やるね!!じゃあこれはどうかな?ドダイトス、地震!!」



次へ
戻る